保育園のICT化には賛否両論があります。
一部では、ICTの導入が子どもたちの学習や遊びをより豊かなものにする可能性があると期待されています。
一方で、過度なICT利用が子どもたちの自然体験や創造力に影響を与える懸念もあります。
そこで本記事では、保育園におけるICT化のデメリットとメリットについて考察し、さらにICTを活用した遊びについても具体的な事例を交えながら解説していきます。
保育園のICT化のデメリットとメリットについて解説
保育園のICT化は、現代の技術革新に合わせた取り組みとして注目を集めています。
しかし、その導入には様々なデメリットとメリットが存在します。まず、デメリットを見ていきましょう。
保育園をICT化するデメリット3つ!
まず一つ目は、過度なICT利用による身体的影響です。
ICTの利用が増えれば、子どもたちの体力低下や運動不足につながる可能性があります。
デジタルデバイスに時間を費やし、屋外での遊びや運動が減少することで、肥満や姿勢の悪化などのリスクが増える恐れがあります。
二つ目は、ICT依存による社会的影響です。子どもたちがデジタルデバイスに頼りすぎることで、対人関係やコミュニケーション能力の発達に支障をきたす可能性があります。
集団での遊びやコラボレーションが減少し、孤立感やコミュニケーション不足に陥るリスクが考えられます。
さらに、三つ目はセキュリティ上のリスクです。保育園でのICTシステムは、個人情報や機密情報を扱う場合があります。
しかし、セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏洩やハッキングのリスクが生じる可能性があります。これは大きな懸念材料となります。
以上が保育園のICT化に伴うデメリットの一部ですが、一方で多くのメリットも存在します。
保育園をICT化するメリット4つ!
まず、ICTを活用することで、教育の質の向上が期待されます。
教育用アプリやインタラクティブなデジタル教材を導入することで、子どもたちがより楽しみながら学ぶことができます。
これにより、興味を引き出し、知識を定着させる効果が期待されます。
次に、ICTは子どもたちの創造性や問題解決能力を促進します。
例えば、プログラミングやロボティクスなどのICT技術を活用した遊びやプロジェクトは、子どもたちの想像力を刺激し、自ら考え、創造する力を養います。
さらに、ICTは保護者との連携を強化する手段としても機能します。
保護者向けのアプリやウェブサイトを活用することで、保育園での子どもの様子や日々の活動について、リアルタイムで情報を共有することができます。
これにより、保護者が子どもの成長をより身近に感じることができます。
最後に、ICTは保育園の効率化と運営の改善にも貢献します。
例えば、保育園内の業務管理やスケジュール調整を効率化するソフトウェアを導入することで、職員の負担軽減や業務効率の向上が期待されます。
以上が保育園のICT化に伴うメリットの一部です。これらのメリットとデメリットをバランス良く考慮しながら、ICTの導入を検討することが重要です。
保育園のICT化の事例!導入率や厚生労働省からの補助金についても解説
ここでは、ICT化の事例について具体的に解説してきます。
保育園のICT化の事例
保育園のICT化の事例として、以下のような取り組みがあります。
1、デジタル学習ツールの導入
保育園では、教育用アプリやデジタル教材を活用して、子どもたちの学習をサポートしています。
例えば、子ども向けの絵本アプリや学習ゲームを導入し、楽しみながら知識を身につける機会を提供しています。
2、プログラミング教育の導入
近年では、保育園でもプログラミング教育が取り入れられるケースが増えています。
子どもたちはロボットを操作したり、プログラミングの基礎を学んだりすることで、論理思考や問題解決能力を育成しています。
3、デジタルストーリーテリング
保育園では、子どもたちが自らストーリーを作成し、デジタルツールを使ってアニメーションや絵本を作成するプロジェクトを行っています。
これにより、子どもたちの創造力や表現力が伸びるだけでなく、ICTスキルも身につけることができます。
4、保護者とのコミュニケーションツールの活用
保護者向けの専用アプリやウェブプラットフォームを導入し、保護者とのコミュニケーションを円滑にする取り組みもあります。
保護者は保育園での子どもの様子や日々の活動について、写真や動画などを通じてリアルタイムで情報を受け取ることができます。
これらの事例は、保育園におけるICT化の一例です。ICTを活用することで、保育の質を向上させるだけでなく、子どもたちの成長や学びの機会を豊かにする効果が期待できます。
保育園へのICTの導入率
保育園へのICTの導入率が高い都道府県の上位7つを以下に示します。
石川県: 73%
富山県: 73%
滋賀県: 66%
鳥取県: 66%
沖縄県: 66%
愛媛県: 62%
福井県: 60%
統計データ引用:一般社団法人保育ICT推進協会
これらの地域では、保育園におけるICTの導入が全国平均を上回っていて、地域全体でICTを活用した教育や遊びの取り組みが盛んに行われている可能性があります。
また、中国地方が最も導入率の高い地域であることから、この地域ではICTを保育園の教育環境に積極的に取り入れている可能性があります。
ちなみに、全国平均の保育園へのICTの導入率は36%です。
全国平均が36%であることからも分かるように、保育園におけるICTの導入はまだ普及途中であり、地域や施設によってばらつきがあるのが現状です。
しかし、ICTの導入率が上昇している地域もあり、今後ますますICTを活用した保育が進んでいく可能性があります。
保育園のICT化に対する厚生労働省の補助金について解説!
まず、補助の対象となる事業は、以下のようになっています。
- 保育士の業務負担軽減のためのICT化
- 保育に関する計画・記録のICT化
- 保護者との連絡のICT化
- 子どもの登降園管理等の業務のICT化
- 実費徴収等のキャッシュレス決済の導入
- 外国人の子どもの保護者とのやりとりに関わる通訳や翻訳の支援
- 認可外保育施設における、保育従事者の業務負担軽減につながる機器の導入
- 病児保育事業等における、空き状況の見える化や予約・キャンセル等のICT化
- 都道府県等が実施する研修をオンラインで行うためのシステム整備
- 保育士資格の登録申請の届出等に関する自治体等の情報との連携を可能とするシステム改修
- 児童館における業務負担軽減や交流の促進につながる機器の導入
- 医療的ケア児を受け入れる保育所における、ICT機器を使用した医療的ケア児とのコミュニケーションの支援
- 保育施設等におけるICT導入状況等に関する調査研究事業の実施
次に、具体的な補助金の額についてですが、各事業ごとの補助金額や補助率を以下にまとめます。
- 業務のICT化等を行うためのシステム導入
- 1機能の場合:20万円(併せて端末購入等を行う場合は70万円)
- 2機能の場合:40万円(併せて端末購入等を行う場合は90万円)
- 3機能の場合:1施設当たり60万円(併せて端末購入等を行う場合は110万円)
- 4機能の場合:1施設当たり80万円(併せて端末購入等を行う場合は130万円)
- 翻訳機等の購入:15万円
- 認可外保育施設における機器の導入:20万円
- 病児保育事業等の業務のICT化を行うためのシステム導入
- 1自治体あたり:500万円
- 1施設当たり:100万円
- 研修のオンライン化事業:400万円
- 保育士資格取得に係るシステム改修:総額9,964万円のうち、令和3年度の各都道府県の受験者数の割合に応じて設定
- 児童館のICT化を行うためのシステム導入:50万円
- 医療的ケア児を受入れる保育所におけるICT機器導入:20万円
各事業における補助金額や補助率は異なりますので、申請する際には詳細な条件や要件を確認することが重要です。
情報参照先:補助金ポータル
保育の場でICTを活用した遊びにはどんなものがある?
保育の場でICTを活用した遊びは、子供たちの興味を引き、学びや創造性を促進する様々な形式があります。以下にいくつかの例を紹介します。
1、デジタル絵本やアプリを使った読み聞かせ
タブレットやスマートフォンなどのデバイスを使って、インタラクティブな絵本や教育アプリを子供たちに提供します。
これにより、子供たちは楽しみながら読み聞かせを受け、同時に言語能力や想像力を育むことができます。
2、プログラミング教育
小さな子供たちでも理解しやすいプログラミング教育をICTを活用して行います。
ビジュアルなプログラミング言語を使ったゲームやアプリを通じて、基本的なプログラミングの概念や論理的思考を学ぶことができます。
3、デジタルアートやクリエイティブゲーム
タッチスクリーンや描画アプリを使って、子供たちは自分のアートを作成したり、創造的なゲームを楽しんだりすることができます。
これにより、子供たちは自己表現や想像力を伸ばすことができます。
4、デジタルリソースを使った自然や科学の探求
インターネットや教育アプリを活用して、動物や自然現象について学んだり、科学実験を行ったりすることができます
これにより、子供たちは身近な環境や科学の面白さを発見し、探究心を育むことができます。
これらは一部の例に過ぎませんが、ICTを活用した遊びは保育の場で幅広く実施されています。
そして、これらの活動により、子供たちが自発的に興味を持ち、学びを楽しむことができるように設計されています。
保育ICTシステムのランキングTOP10
保育ICTの専門家にアンケートを行い、人気の高かったシステム順に並べています。
それぞれのシステムについての特徴も簡単に解説しているので、参考にしてください。
1位:CoDMON
CoDMONは、複数の保育園を運営する場合に適した統合的な管理システムで、保護者とのコミュニケーションツールや出席管理、給食管理などの機能が豊富で、保育施設の運営を効率化してくれます。
2位:はいチーズ!システム
はいチーズ!システムは、保育士の業務効率化を目指したシンプルなデザインが特徴で、保護者とのコミュニケーションや児童の健康管理に焦点を当てており、使いやすさが魅力です。
3位:KidsDiary
KidsDiaryは、子供の日々の成長や活動を記録するためのツールで、保護者との共有やコメント機能があり、保護者とのコミュニケーションを強化してくれます。そして、使いやすさと情報共有の便利さが特長です。
4位:Child Care System+Pro
Child Care System+Proは、保育施設の運営全般をカバーする統合的なシステムで、出席管理、給食管理、保護者とのコミュニケーションなどの機能が含まれ、保育士の業務を効率化してくれます。
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5位:Hoic システム
Hoic システムは、保育士の日々の業務をサポートするための機能が充実していて、保護者とのコミュニケーションや出席管理、日報の作成など、保育施設の運営を円滑にしてくれます。
6位:WEL-KIDS
WEL-KIDSは、保育施設内での児童の健康管理に特化したシステムで、医療情報の管理やアレルギー情報の共有などが行え、児童の安全を確保してくれます。
7位:ルクミー
ルクミーは、保育園の業務効率化を支援する多機能なシステムで、保護者とのコミュニケーションや出席管理、予約管理などが可能で、保育士の負担を軽減してくれます。
8位:Child Care Web
Child Care Webは、インターネット上で保育園の情報を管理するためのシステムで、保護者とのコミュニケーションやアクセス制御などの機能が提供され、情報管理が簡単になります。
9位:企業主導型保育園専用 famcloud
famcloudは、企業主導型保育園に特化したサービスで、従業員と保護者のコミュニケーションを強化し、日々の運営をサポートしてくれます。
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10位:hugmo
hugmoは、保育士と保護者のコミュニケーションを促進するためのツールで、写真や動画の共有、日報の作成などが可能で、保護者への情報提供に特化しています。
保育のICT化には光回線は必要?
保育のICT化において光回線は必須ではありませんが、高速で安定したインターネット接続は重要です。
光回線は通常、高速で信頼性の高いインターネット接続を提供するための一つの選択肢です。
特に大規模なデータの送受信や複数の端末が同時に接続する場合、光回線の速度と安定性が役立ちます。
ただし、保育のICT化に必要な帯域幅や接続の安定性は、施設の規模や利用目的によって異なりますので、具体的な状況に合わせて最適な選択を検討する必要があります。
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